発達障害の支援について学ぶと、よく出てくる言葉があります。
「その子に合った個別支援が大切です。」
私は、本当にその通りだと思っています。
でも、ASDを持つ姉妹を育てていると、現実はこう思うのです。
その子に合った支援を、二人同時に行うことってとんでもなく難しくないか?!
前回書いた全く違う特性のASDを持つ姉妹の記事に続き、今回は『特性が違う姉妹を同時に育てることの難しさ』について書こうと思います。
個別支援の理想
前回、姉妹の特性の違いから、その対応がまるで正反対に感じることは書きました。
私は、我が家の姉妹が発達特性を抱えていることに気づくまでも、気づいてからも、家庭内で姉妹と対することにとんでもない難しさを感じてきました。
今回この記事を書いたのは、自分がどうしてその難しさを感じていたかに気づいたからです。
我が家の姉妹は放課後デイサービス(以下、放デイ)を利用していますが、そこでは、個別支援の計画を立てるために定期的に面談があります。そのなかで、個々の特性の違いを伝えながら、支援の方向性を決めていくのですが、それぞれの支援の方向性はとても見えやすいのです。
長女には長女に合う支援があります。
次女には次女に合う支援があります。
それぞれの特性を理解し、それに合わせて環境を整える。
個々に考えると「こうしてほしい」「こうすればいい」が出てきます。
なのに一方で、家庭内ではそれぞれの特性はわかっているのに全く回らないという現実がありました。
姉妹それぞれの課題、ペース、一緒にやりたいこと。
違う特性を持った子どもたちは同じ空間で生活しています。
それを回す難しさと言ったら、もうカオス!
私はずっと、「私がうまくできていないんだ」と思っていました。でも、今思うと違いました。
そもそも二人の脳の使い方が違うのに、同じ空間、時間を共有しないといけないから、うまく回らないのは当たり前だったのです。
困っていたわけでした。
一人に合う環境が、もう一人には合わないことがある
我が家の姉妹は、特性がかなり違います。
長女は、その時の状態に合わせて動けることを切り替えていく事が大切です。
次女は、見通しやルーティーンがあることで安心できます。
つまり、
長女に合わせると、ルーティンが汲めずに次女がストレスになる。
次女に合わせると、脳の興奮状態が合わなくて、長女が動きにくくなる。
こんなことが日常のあらゆるシーンで起こります。
例:宿題
姉妹同時が圧倒的にぶつかってきた課題が”宿題”でした。
長女は常に喋っています。
まるで、「脳内の思考を出さないといけない!」というように、何かをしながらでも、よほど過集中や疲労があるとき以外は常にしゃべっています。
これは宿題も同様で、常に横にいる次女や私に話しかけるのです。
それでも、自分は宿題を何とかやっていたりするのですが、次女はそうはいきません。
次女は、周囲の言葉に反応しては、宿題が手につきません。
長女話しかけられた話題に気が行き、手が止まります。
さらに、次女は感覚過敏や、不安の思考によって、隣の姉の足や手が触れると怒り出すことも多く、気づくと二人が喧嘩になっていることも多いです。
一度そうなると、その後のやる気は、特に次女には戻ってきません。
二人、別々の空間でさせようと何とか話すのですが、それは断固拒否をするところがまた難しい。
例:食事
同じく食事でもそうです。
常に話している姉の言葉に反応することに精一杯で進まない食事、そのうち座っていることがしんどくなって、姿勢が崩れて食べられない。
もしくは先述と同様の流れで喧嘩になる。
どちらかが先に食べ終わっても、一人で次の行動に移ろうとできずに、余計にだらだらと話してもう一人の食事の時間が長引く。
これが干渉しあっているとはっきり言える理由としては、それぞれ、何らかの状況で一人でご飯を食べるとなると、ほとんどの場合、きちんと食べ終えることができる。ペースもそれなりの時間で食べられるということがあります。
例:ゲーム(休憩時間)
これは、長女のやる気タイミングに完全にフォーカスを合わせることになります。
長女は全くスイッチが入らない時には、どうしても入りません。唯一の方法が先にやりたいことを少しでもすること。
その後、やる気が続く場合と、やりたいことしかできない場合がありますが、後者であれば、全体的な心身の循環が悪くなっていることが多く、家庭、学校、放デイで数日かけて状態を見直すことが多いです。
なので、今回は前者の場合のお話になります。
次女は、先に宿題をこれだけやれば(または何分やれば)ゲームをしていいよ。と決めるとその通りに取り組みやすくなりますが、長女はそうはいきません。
今したいものは今したい!この状態になると、ほかのことは手につかず、一日机に向かってもプリント1枚できないということが平気で起きます。
そうなると、どんどん長女のエネルギー値は下がる一方です。常に刺激がいる長女の脳には、刺激をこまめに入れて満足感を持って、やるべきことに取り組めるポテンシャルをともっておく必要があると感じています。
また、片方が宿題をしていて、片方が宿題をしていない状況は、互いの干渉で宿題をしている方が進まない。などの状態が起こりやすくなります。
それに、姉妹で一緒にゲームをしたいという時も多くあります。
こうした場合は、まず、長女への対応をしなければ日常が回らないことが実際です。
我が家では、長女の状態が家庭全体を左右する
もちろん、次女への安心や見通しもとても大切なのはわかっているのですが、現実には長女への対応を先にすることが多くなります。
何故なら、長女の状態が崩れると、家庭全体が止まってしまうからです。
長女が動けないと宿題も進まない。お風呂も進まない。次の用意にも移れない。
そして、その影響を最も受けるのが次女です。
だから私は、「長女を優先したい」のではなく、結果として過程全体を回すために長女への対応を先にせざるを得ない。
そんな感覚で日々を過ごしています。
親としての悩み
親は常に調整役
私は長い間、「どうしたら二人とも満たせるのだろう。」と考え続けてきました。
でも現実には、それができない日が多いのです。
だから、その時その時で、
今は長女を優先する。
今は次女を優先する。
そんな選択を繰り返してきました。
すると今度は、片方が動けなくなってしまう。
そして私もそのもどかしさが積みあがって、怒ってしまうことになるのです。
正解がないから苦しい
発達障害のきょうだい育児が難しいのは、
頑張れば必ずうまくいく問題ではないからなのかもしれません。
どちらを選んでも、少しの困りごとが残る。
どちらかを優先すると、もう一人の負荷が積もる。
だから、常に「もっといい方法があるのでは」と考え続けてしまいます。
我が家がたどり着いたこと
違いを経験できる環境
最近、私は少し考え方が変わってきました。
発達障害のきょうだい育児には、どうしても子どもたち自身の負担が増えてしまします。
けれど、これって、その瞬間を見ると負担になっているけれど、長い目で見るとメリットにもなるのではないか?と思うのです。
それを思えたのは、子どもたちが成長してくれているからです。
お姉ちゃんモードの長女は、一人の時はできない素早い切り替えや判断を次女のため、誰かの為ならできることがあります。
思考が固まりがちな次女は、長女の臨機応変に振り回されることで、「仕方ない」と自身の切り替えや他を受け入れる姿勢を学んでいるように見えます。
こうして姉妹は、お互いの違いに振り回されながら、「待つこと」「合わせること」「譲ること」「助けること」いろんなことを少しずつ学んでいるように見えます。
これって、とてもいい環境なのでは?そう感じ始めたんです。
親の悩む姿には意味がある
確かに、「正解」が見つけられない姉妹の環境設定。
それはとんでもなく、親には負担がかかります。
その都度の、その瞬間の選択を選び続けなければいけないからです。
全ては、「その時の最適解」と親として思う選択を。
でも、それに悩む間、悩む親の姿も含めてきっと子どもたちは見ている。
そして成長を深めている。
親が対処できないからこそ、成長できることがあるんじゃないかな?そんな風に感じるのです。
個別支援は、家庭全体を見て考える必要がある
私は、違いはなくしたり、完全に合わせたりする必要はないと思っています。
違うから困ることもある。
でも、違うからこそ育つ力もある。
家族とは、その違いを抱えながら、一緒に最適解を探していく場所なのかもしれません。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。よかったら、ほかのエピソードにも寄り道していっていただけると嬉しいです。↓
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