「じゃあ、あと10分だけやってみようか。」
そう声をかけると、次女は元気に「うん!」と返事をしました。
でも、その10分後。
「10分やったから終わるね!」
宿題が終わったわけではありません(笑)。
それでも私は、少し嬉しかったのです。
思っていたより残っていた宿題
小学生の次女は、4年生の2学期から特別支援学級を利用し始めました。
普段の宿題は、放課後等デイサービス(以下、放デイ)で取り組めるようにしてもらっています。この日も、放デイで宿題を半分ほど終わらせていました。
「あと半分なら、なんとかなるかな?」
そう思っていた母ですが、実はもう半分が、けっこう残っていた…。しかも、昨日の宿題も、範囲を間違えていて、少し残っていたようでした。
寝る前になって、「あれ? 思っていたよりあるぞ」という状況になりました。
「あと10分やってみようか」
もう寝る時間も近い。全部終わらせるには、少し厳しそうです。
そこで、
「じゃあ、あと10分だけやってみようか。」
と声をかけました。
すると、「うん!」元気な返事が返ってきます。
おお、今日は安定してる。そう思って、10分。
「ママ~!10分やったから寝るね~!」
次女は、ちゃんと10分が経つと、本当にそこで切り上げようと声をかけてきました。
まず、10分をちゃんと確認できたことに感動!
ただ、まだ漢字の宿題が少し残っている様子。そして、音読も残っています。明日、朝できたとしても、残ったプリントか音読かどちらかでしょう。
そこで私は、「じゃあ、あと音読だけはしとく?」と、もう一声かけました。
すると次女は少し考えて、
「うーん……。今日はもう無理かも!」と答えました。
私が、「そうか、じゃあ、お休み」と返すと、「おやすみ~☆彡」次女は元気に言って、そのままおやすみです(笑)。
宿題は終わっていません。でも、私も「それでもいいか」と思えた。
そして、次女は満足気な表情で床に就いたのでした。
「全てやる。」ではなくて自分で選べたこと
ここで、以前の私だったら、
「え、まだ終わってないよ?」
「もう少しできるんじゃない?」
「せっかくやり始めたんだから……」
と、思っていたかもしれません。
もちろん、宿題を終わらせることも大切です。
でも、この日の私は、少し違うところを見ていました。
次女にとって宿題のハードルは高いものです。
でも、「10分だけやってみようか。」と言ったことに見通しを持って、「10分だけする!」と、自分なりに決めた。そして、時間間隔がまだ少し弱い次女も、今回はきちんと時計を見て動くことまでできた。
そして、欲張って「音読はしとく?」と声をかけた母に、次女はちゃんと自分と向き合って考えられたのです。
「うーん。今日はもう無理かも。」と。
自分で自分の状態を把握して、選んで、それを言葉にできること。
宿題は確かにしないといけないことなのですが、私には、この時の次女の選択と言葉と、その意味の方がよっぽど大切なことだと思いました。
だから、私は迷うことなく言いました。
「そうか、じゃあ、お休み」って。
そのことに、この時私は、「10分だけやってみようか」という言葉を、「宿題を終わらせるための指示ではなく、次女を応援するという気持ちで投げかければ、いつもガミガミ言わなくてもいいのかもしれない。」と思いました。
以前はできなかった「言語化」と「選択」
以前の次女は、「今日はもう無理」と思ったときに、それを言葉にして終わることも難しかったのです。そもそも、自分の今の気持ちが何であるかがわかっていなかった。だから、こういう時に「愚図る」しか方法がなかったのだと思います。
周りにいる大人は本当にこれに翻弄されていました。どういったって収まらない本人のモヤモヤは、誰が何と言おうと収まることは無い!という時だって、当たり前にありました。
それが、今は、気持ちの言語化だけでなく、自分の今の状態も見られる時がある。
正直、小学4年生でそれができる時があるとは、私は思ってもみませんでした。
放デイで多くの先生方とコミュニケーションをとる。
それも、ちゃんと信頼という土台がある中で。
いろんなことの積み重ねで確実に次女は毎日少しずつ成長してきました。
それが、少しずつ、
「やってみる」
「今日はここまでにする」
という選択に繋がってきていると実感しています。
「できる」と「選べる」は、少し違う
子どもが何かをできるようになると、私たちはつい、「じゃあ、次は毎回できるように」と思ってしまうことがあります。でも、できることと、できる状態であることは、同じではありません。
そして、できることと、自分で選べることも、少し違います。
私はストレスを感じやすいわが子たちを見ていて、気持ちの扱い方がどれだけ大切なのかを日々、実感しています。
その日の疲れや、見通しの持ちやすさ、気持ちの余裕。そういったものによって、同じ子どもでも、できることは変わります。これは、自分に置き換えてみても、同じことです。
そして子どもたちは、大人が思っている以上に、毎日の中でいろいろな負荷を抱えているのかもしれません。しかも、その負荷が自分でも何なのかわからないことだってある。
だからこそ、自分の今の状態を知って、それを言葉にできることは、とても大切なのだと思います。
だから、「今日はできなかった」だけで終わらせずに、「今日は、どんな選択ができたかな?」と見てみる。
私は、次女とのやりとりの中で、その大切さに気付かされています。
「応援する」親の心構え
「あと10分だけやってみようか。」
今回、この言葉で、次女が宿題を全部終わらせたわけではありません。
でも、やってみることはできた。そして、やってみたあとに、自分で区切ることもできた。
もちろん、毎回そうできるわけではありません。
それでも、以前は選べなかったことが、少しずつ選べるようになっている。私は、そこを応援したいなと思っています。
宿題を終わらせることも大切。でも、子どもが、「今の自分で、できることを選んでみよう」と思えることも、大切にしたい。
「あと10分、やってみようか。」
その言葉は、宿題を終わらせるためだけではなくて。もしかすると、
「今の自分で、できることを選んでみようか」
という、そんな応援の言葉なのかもしれません。

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