「日常ー学び」では発達障害を持つ我が家の姉妹のエピソードや、そこから学ぶこと、ちょっとクスっと笑える日常の会話など、息抜きになるようなお話も書けたらと思います。
↓↓このお話はこんな方に読んでいただきたいです!↓↓
- 療育を利用したいけれど何を基準に選べばいいかわからない
- 療育をなんのために利用するのかわからない
- 発達障害の子の子育てがしんどい
療育を受けるにあたって 母として思うこと
発達障害を持つ子どもにとって、「療育の場」というのは単なる訓練の場ではなく、“社会の予行練習”のような場所だと思っています。
発達障害の子の成長には多くの場合、定型発達の子どもが日常生活や学校生活、親や友達とのコミュニケーションで身につけられることが身に付きにくいのではないかなと思います。
そのために発達障害を持つ子はそれらをより具体的に、シーン別に、きるだけ多く経験を積むことが必要になってくるのではないかと感じています。
そんな言い方をするとなんだか面白くなさそうですが、その意識を日常に落としこんで楽しみながらすごすことができるのが理想的な療育の環境なのではないかなと感じています。
療育を利用するならば、できれば大変な日常を乗り切るものだけではなく、今後を見据えて次のステップにつながる準備段階にしたいなと思います。
ホップ、ステップ、ジャンプのホップ段階を大切に、できるだけたくさんの楽しい経験で固めた土台を作ってあげたいと思っています。個人的には療育を始めてこの次のステップにつなげるという考えがとても大切に感じているところです。
私自身、ASDを持つ姉妹の成長を考えた時に療育が一時的で終わらないため、できるだけの効果を発揮できるようにと考えてきました。
ここでは、私(はは/はゆまーま)が療育を利用していて思った事や大切にしている視点をいくつかまとめたいと思います
療育施設を選ぶときに大切にしたいと思うこと

1. 子どもに合っているか?それぞれの特性に合わせて
療育施設にはそれぞれ方針や得意とする支援があります。
そのためにはまずその場所の見学は大切だと思います。
私は見学の際には実際に子どもたちを連れて行って、その場の雰囲気となじむかをまず最初に見ました。それから活動内容。
我が家の場合で言うと、やる気スイッチの入らない長女には外出イベントがたくさんあり、ちょっと特別な日常の体験をできる場所を選びました。
一方、次女は外出が得意ではないので、同じ場所でクッキングや簡単なスポーツなどの集団行動の中で緩やかにコミュニケーションができる場所を選びました。
兄弟姉妹で特性がかなり異なる場合はそれぞれに合った施設を利用することを考えることが大切かなと感じています。
2.施設としての子どもとの向き合い方がはっきりしているか
「子どもがどんなところでつまずきやすいか」「今後どんなサポートが必要か」を一緒に考え、その施設がそこにアプローチする際の姿勢がどんなものか、こちらの話をしっかりと聞いて、具体的にどういうサポートをしていこうと考えているのかを伝えてくれる施設かどうかはその後の施設とのコミュニケーションの為にも見ておくといいかなと感じます。
保護者との連絡方法や気になることがあれば気軽に連絡できる手段があるかもあらかじめ確認できれば安心だなと思います。
また、サポート面で専門知識を持った職員がいるか、それが子どものサポートに合った分野のものかを確認することも安心材料になると思います。
因みに我が家の場合は、利用のための面談時、サポートの方向性についての内容はシートに書いたり質問形式で確認がありましたが、その時に教科書通りの指導方法の説明よりも、より個人に特化した具体的な子どもの様子を聞いてくれたり、具体的なアプローチの点、サポートの優先順位をきちんとまとめてくれたりするところの方が、子ども一人一人に対してしっかり向き合ってくれる方が多いのではないかなと感じます。
診断名からや親側の話目線のみで子どもを判断するのではなく、その都度わが子の状態をとらえようとしてくれているかもとても大切な点だと思っています。
とは言え、これらの様子は利用を決めてからの面談で感じたことなので、最初からこれらを判断することはとても難しいことだと思います。施設の内容が子どもに合っていると思った時点でひとまず利用してみて、その後の子どもの様子で判断していく事が近道だと思います。
実際、我が家の場合は長女の利用に関しては次女が利用している施設も利用していましたが、より合う施設を見つけたため、ひと月ほどで他施設の利用に変更しましたが、子どもの発達をサポートする場所なので、早急に対応をしていただけました。
療育は環境そのものが「本人を支えてくれる場」になっているか、利用を決めてからもその後の子どもの様子をしっかりと見ることが大切だと思います。
3. 人(支援者)の様子
どんなにプログラムが良くても、結局は“人”です。
私はコミュニケーションの中でのトラブルを完全に避けるのではなく、「経験の中で柔軟性を育てる」ことを見守ってくれる支援者に出会えると、本当にありがたいと思います。
また、子どもが順調に楽しんでいるからと言って放置しておくのではなく、細やかな観察と対応をしていてくれる人がいることも大切だと感じています。
前者のエピソードは「5.子どもが嫌な思いをしたときの対応」でお話するので、ここではわが子の場合のエピソードとして「細やかな観察と対応」についてお話します。
細かな観察と対応ー長女のエピソードー

長女は現在小学5年生で施設内でも最年長です。曜日によっては同学年の子がいる時もありますが、いないときの方が多いようで、その中に、長女にとても懐いてくれている下の学年の子がいます。
施設での外出ベントの際にもその子が隣にいて、そうすると自然とその下の学年の子の面倒を長女が見る形になります。
これはとてもいい経験だと思います。が、そこで施設の方はその状況をある程度見守りつつも、そればかりでは長女の疲労や我慢にもつながってしまうので、折を見て大人が二人の間に入ったり、離す時間を作ったりと工夫してくれているようです。
こうやってきちんと子どもひとりひとりの状態を観察しながら、過剰なストレス状態で悪循環を起こさないように気を配りながら、楽しい環境や充実した達成感を積んでいけるように努めてくれているのだなと思った事なのですが、専門の施設でもこれをしてくれるところと、残念ながらそうでない施設もあるように思います。
要はそういった目線を持っている人達がいるかどうかということかと思います。
私は施設の方のお話の様子や子どもの様子でそれを見るようにしています。
4. 子どもが楽しめているか
どんなに立派な支援内容でも、子ども本人が楽しめていなければ意味がありません。
好きな先生がいる。リラックスできる環境がある。
「少しでも子どものスイッチが入りやすい前向きな条件があると、苦手なことにも“好き”の延長線上で挑戦できるんだな。」と私は療育を始めて思うようになりました。
“楽しい”という感情をベースにした経験こそ、成長への一番の原動力だと気づかされました。
我が家の場合は幸い、長女が施設に大好きな先生が3人もいるそうで、楽しめる場では苦手なことも頑張れている姿を施設からのお話でも感じ取れています。
5. 子どもが嫌な思いをしたときの対応
ASDの子どもは、嫌な出来事を強く記憶に残しやすい傾向があります。
だからこそ、その“嫌”をどう扱うかがとても大切だと思っています。
なので、私は、子どもの嫌を避けるだけでなく、「なぜ嫌だったか」「どう感じたか」を共有し、子どもも相手も否定しない大人がいる環境であってほしいと思います。
もちろん、療育の場ですのでそういった時の対応をする場でもあると思いますが、療育も人がしています。意外と人によってそれを避ける動きの方が多い方と、向き合ってくれる方など、人による部分もあるような印象を持っています。
専門の施設とは言え、集団の意識はそこで働く方の意識が集団になって構成されていくものだと思います。私が見た施設なんてほとんど数は無いのですが、それでも施設の色は意外と様々あるような印象を持っていて、
子どもの困った行動に対して、どんな対応をしてくれるのか。そうなった時の対応が施設の方向性を確認するときにとても参考になると思いました。
次に「経験の中で柔軟性を育てる」と言うことに関しての次女のエピソードをお話しようと思います。
子もが嫌な思いをしたしたときの対応(柔軟性を育てる)ー次女のエピソードー
我が家の次女のエピソードで言うと、次女はよく周囲の子どもたちにちょっかいをかけられるようです。ある日も送迎の際の車内で後ろからつんつんされたことに怒ってしまった次女。その次女に対して、施設の方はその怒りを否定せず、でも相手の子も否定せず、なぜそうなったかを相手からも聞き出してどうすればいいかを一緒に考えて話してくれたようでした。
怒りを受け入れてくれたからと言ってすぐに次女の気持ちが収まるわけではありませんが、施設の方はその状態を私にきちんと説明してパスしてくれたので、私としてはその後の対応も冷静に考えてすることができました。
一度、同施設で、どうしてもスポーツ活動中にほかの子と体が当たったりすることが多く、施設でも男女別でできるようになど工夫をしているとおっしゃっていたことがあったのですが、こういったそのストレスに触れない対応も場合によっては大切で必要な対策だと思いますが、先の対応の方が今の次女には必要性を感じていたので、そういった人が何人かると安心するなと思った経験があります。
6.施設と 親とのコミュニケーション
療育の中での様子をしっかり伝えてもらうことは大切です。特に、困った出来事もその対応も併せてきっちりとお話してくれることは大切かなと思います。
その点においては、送りの際に口頭で伝えてくれたりしますが、それと同時にその日の様子を毎回教えてくれる手段(連絡帳のようなもの)があるとよりいいと思います。
何をしたかの説明は子どもには難しい場合があるので、それがあるとより安心もできるなと思います。
そして、その日の子どもの“できた”を子どもの前で一緒に喜べること。
その積み重ねが、子どもの自己肯定感を育てる力を後押ししてくれる経験にもなると感じます。
親の心構えとして大切にしていること
1. まずは“肯定的な目線”から
施設への不満や不安は、どうしても出てくるものです。
でも、それが社会で、それが当たり前だと思います。
さらに言うと親の考えが正しいわけでもない。
最初から文句ではなく、まずは肯定的な目線で見ること。
それでも違和感を感じるなら、子どもと施設の間の何に違和感を感じているのかを観察するようにしています。
そしてそれが親自身のアプローチで埋められるものであれば、私はそれでいいとも思います。
子どもは親の姿を想像以上に見ています。
ASDの子どもは物事を白黒で捉えやすいからこそ、親自身の“認知の柔軟さ”がとても大事だと感じています。
2. 否定と不安へのアプローチ

ASDの子は「否定された」と感じやすい特性を持ちます。
だからこそ、否定の感情を“否定しない”ことが大切。
「そう感じたんだね」と受け止めつつ、療育での嫌だった出来事を「嫌」だと一度捉えてから「嫌」と言う思いから抜け出す考え方の選択肢を一緒に考える。これは親自身も前向きに成長できるチャンスでもあると思いますし、なかなか身につかなくても、子どもが成長したときに良い影響にはなると信じています。
親の考えも一つの例として提示し、複数の視点を持てるようにする。
そうやって“考える力”と“選ぶ力”を育てていきたいと考えています。
また、「不安」を強く感じやすいASD特性を持つ子どもにとっては、まずは「楽しめる環境」を用意し、受け入れてくれる大人との関わりを通して安心できる基盤を作る。
そのうえで、少しずつ「不安」「ストレス」「できない」に向き合う練習をしていく。
この流れを繰り返しながら、学校や社会でも自分らしく過ごせる“自力”を育てていくことが目標かなと思っています。
そのためには、療育が利用できる間に、親と子どもの間で少しずつ子どもが「困ったときに相談できる親」でいること。その関係を築けるようにしたいと今の私は思っています。
療育を受けられる時間が短い期間であること、発達障害を持つ人が社会で生きるためには確かな支えもいるということを感じるからです。それを過保護にならない距離感で築いていく。
それが一番難しくて一番大切な今できることだと思っています。
少しずつでも、着実に成長していくわが子に、自信をもって生きていってほしい。そのためにいざという時の心の支えになれる親になるという、私としては壮大な。けれど、必ず必要な目標をもって親として成長していきたいと思っています。
3.環境の受け止め方:完璧を求めすぎない
私たち親はつい「もっと良い環境を」と思いがちですが、現実の社会は“完璧ではない”場所です。
だからこそ、療育の最終的な目的は「できるだけ、その子がどんな環境でも柔軟に生きようとする力を育てる」ことではないかなと私は考えています。
今回は療育施設について書いてきましたが、結局はその中身は”人”ではないかなと思っています。いくら素晴らしい理念を掲げていても、きっちりとしたプログラムを組んでいたとしても、そこにいる人が子どもの気持ちや状態を感じ取ろうとしてくれなければ子どもをサポートする思いは逆効果になってしまいかねません。
発達障害の子どもは成長がゆっくりなだけで、何もわからない、自動的に卑屈になってしまう人間なわけではありません。やはり、どんな子も成長の環境だと思います。その環境を一番よく変えてくれるのが人との出会いだと思います。自分に向き合ってくれる人、受け入れてくれる人、不安の強い彼、彼女たちは、人一倍信頼と安心と言うベースに様々な自信を、経験を積んでいく事が必要なのではないかと思います。
誤解やすれ違い、思い通りにいかない出来事──
それらを“問題”として排除するのではなく、“学び”として扱えるように。
そのときに人に頼る力、対応する力、柔軟に受け止める力を身につけていけるように、親も一緒に考えていきたいと思っています。
おわりに

ASDを持つ子どもたちにとって、療育は「社会を知る最初の場所」。
そこに“安心して挑戦できる環境”があること。
そして、“失敗しても大丈夫”と思える大人がそばにいること。
この2つがそろえば、子どもは必ず少しずつ前に進んでいける。
私自身、姉妹の子育ての中で何度も悩みながら、親として不完全な自分と子どもとの関係を少しずつ改善してきたつもりです。それには素直さと柔軟さ。これがとても大切だと感じています。
できないことより、できたことに光をあてて。
完璧を目指すより、柔軟に。
そんな姿勢で、これからも子どもたちと向き合っていきたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。よかったら、ほかのエピソードにも寄り道していっていただけると嬉しいです。↓


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